すずめの歌

夫と2人暮らしの日々

精神的親殺し

夫は、息子の現状について、私にこう語った…。


「お前は、ものすごく吸引力が強い存在だ。アイツは、必死にその吸引力から逃れて、自立しようとしてる。いわば、精神的親殺しを、今、してるんだ。そして、自立した。実にめでたいことだ。お前は、もっともっと喜んで良いんだ。今までの努力が実を結んだんだから。」


私 「あなたも、精神的親殺しをして、自立したの?」


夫 「オヤジに対しては…。でも、おふくろには、出来なかった。ただ、19歳で家を離れて、物理的に距離が出来たから、親殺しの必要がなかった…。」




…確かに、夫は、かなりのマザコンだと思う。


夫の母は、私達が結婚するずっと以前に、亡くなった。


だから、私は、直接には、夫と母の関係を知らない。


ただ、夫と結婚した当時、母親の話題になると、夫の声の調子が変わるのを、私は奇異に感じた…。


まるで、この上なく聖なる悲劇の人を崇めるかのように、夫の声のトーンが、突然に高く、苦しげになるのだ…。


今では、もう、かなり普通になったが…。


しかし、夫は、未だに、亡母の墓参りに行く時、少し異常な興奮状態に陥る…。



…考えて見ると、私の兄も、やはりマザコンだと思われる。


兄が50代後半の時、私は、兄と母とが2人きりで話している現場を、一度、漏れ聞いてしまった。


その時の2人の会話は、まるで「アツアツラブラブの恋人同士」だった。


まさか、そこまで…とは想像していなかった私は、深い衝撃を受けた…。


兄も、夫同様、10代で家を離れた。


物理的に離れてしまうと、激しく対立・衝突することはなくなる。


それゆえに、母と息子の「精神的恋人関係」が、長年に渡って維持されてしまうのだろう。




しかし、私の息子は、私に、強烈な否定的態度を明確に示した。


それによって、私との「精神的恋人関係」は、完全に崩壊した。




将来、息子が結婚すれば、彼は迷わず、妻の味方になるだろう。私ではなく…。


そして、それが正しいのだ…。




つまりは、息子は、一匹のオスとして、「メス」である母を、捨て去った。


新たな「自分のメス」を獲得し、カップルになるため、男一匹、放浪の旅に出たのだ…。


実に、正しい成長過程なのだろう…。



中には、自立して何年も経ってから、実家に舞い戻り、引きこもるケースもあるようだ…。


けれど、そこまで心配したら、キリがない。


悲観的な予想ばかりして暗くなる、バカなワタシの悪いクセだ。 (>_<)



今は、息子の自立を素直に喜ぼう!  \(^_^)/


ちょっぴりのさびしさと、ちょっぴりの心配と共に…  (^^)/~~~