すずめの歌

夫と2人暮らしの日々

夫の謎の咳

夫は、近年、
謎の咳をする。








秋が深まると、
「コホン」と「ゴホン」の
中間くらいのを
1回だけする。





そして、
1時間くらい経って
また1回。







比較的乾いた音で、
あまり奥からの
音ではない。






寝ている間は、
なぜか
咳は出ない。








そして、咳は、
冬の間、
毎日、続く。









数年前、
呼吸器内科で

診て貰った。








「原因不明ですね」と
言われ、
咳止めを処方され、


しばらく飲み、
咳は

止まった。









一昨年だったか、
秋口に、
ふと思いついて、


「ダニ取りシート」を買い、
布団の間に

置いてみた。







すると、
その年は、
咳が出なかった。







それで、
昨年も、
ダニ取りシートを買って
使った。








ところが、
冬のはじめ、


キャベツの千切りを
誤嚥して

咳き込んだことを
きっかけに、



咳が
また始まった。







咳が
3週間続き、


私は、夫に
呼吸器内科受診を
勧めた。








今度の医師は、
「大きい耳鼻科に行って

診て貰ってください」と


指示を
出した。






夫は、
言われた通り、
大きい耳鼻科病院を

受診した。








そこでは、
内視鏡で

ずっと奥まで
診てくれたそうだ。








そして、診断は


「異常は
何もありません。
乾燥によるものですね。」






医師は
それ以上は
何も言わず、


夫も
尋ねなかったそうだ。







(夫には、病院で、
的確に

症状を訴えたり、
疑問点を尋ねて

解決することが
難しい。


会話力がないのだ。)







夫から
話を聞いた私は、
まず、
「ハンディ吸入器」を買い、
夫に

使わせてみた。






同時に
濡らしたカット綿を
不織布マスクで

サンドイッチした物を
作り、
使って貰った。






それぞれ、
効果があり、
咳を

止めることが出来た。






しかし、
一番効果があり、
咳を
予防出来たのは、


部屋の湿度を
上げることだった。







バスタオルを4枚、
濡らし、
ストーブの前に

掛けた。







すると、
部屋の湿度が
40%以上に上がった。






油断して、
タオルを濡らすのを忘れ、
タオルが
カラカラになってしまうと、


途端に、
夫が

咳をする。







その時に、
湿度計を見ると、
必ず、
40%を切っていた。







朝に、晩に、
私は、

タオルを濡らし続け、


夫の咳は、
以後、止まっている。







私自身は、
湿度が40%を切ると、
鼻が乾き、
ムズムズする。


クシャミが
出ることもある。




しかし、
咳は出ない。







夫の気道の粘膜は、
どうやら、
過敏で、
デリケートらしい。





ずんぐりした
骨太の体型からは、
想像もつかないけれど、


彼の内部には
意外に
ひ弱な部分が

あるらしい……。