すずめの歌

夫と2人暮らしの日々

「ウィーン少年合唱団」の思い出

数十年前の昔々、
若かった私は

初めて、
海外旅行へ行った。








行き先は、
ウィーンだった。








その時、
「ウィーン少年合唱団」の
コンサートにも行った。







特別な興味はなかったが、
単なる観光の一環として、
何気なく
行ってみた。








私は、一人だったが、
その時、
客席を埋め尽くしていたのは、
アメリカ人らしき、
中年男女の集団だった。





殆どが夫婦らしかった。









ところが、
その

小コンサートホールに
充満していたのは、


妻たちが発する、
強すぎる香水の匂いだった。







加えて、
夫たちが発する
凄まじい体臭だった。









少年たちの清冽な美声は、
圧倒的な
2種類の「臭い」の前に
ぶっとんだ。








体臭の薄い日本人の中でしか
暮らしたことのなかった

私には、
西洋人の大集団が放つ

「臭さ」は
強烈過ぎた。








「天使の歌声を楽しむ」のではなく、


「生々しい
西洋人の強体臭から
逃れられない」


1時間余を
私は

過ごした。








帰りの飛行機で、
私は
西洋人が隣席にならない事を
心から願った。







幸い、
隣に座ったのは、
無臭の日本人男性だった。







私は、
ホッとして
空の旅を楽しんだ。








あれから、
西洋人の大団体と同席した

経験はない。








現代の
西洋人男性の体臭は、
どうなのだろうか?








あの時も、
私は、

たまたま、
洗練された都会人ではなく、
田舎から来た野性的な人たちと
同席してしまっただけ……

だったのだろうか?









その後に経験した
スペイン旅行でも、
同様の体験は、しなかった。









「ウィーン少年合唱団」を
目にすると、
遙かに甦る記憶である。