すずめの歌

夫と2人暮らしの日々

佐藤龍世選手の速度違反

西武ライオンズの佐藤龍世選手(23歳)が、
車の速度違反で、
「懲役3ヶ月・執行猶予2年」の有罪判決を受けた。



コロナの自粛期間中に、
先輩(相内誠投手)を乗せ、
ゴルフへ行くために、
60㎞制限の首都高トンネル内を、149㎞で走行したそうだ。



裁判では、本人は、
「相内投手に指示された。

相内投手は、オービスの位置をスマホで確認していた」と
証言したらしい。



(それを受けてかどうかは不明だが、
相内投手は、
「あきれる。」と、
SNSで、翌日に、ひと言だけ発信している。)




球団は、無期限出場停止処分を継続するそうだ。




このニュースに寄せられたコメントでは、
「普通の会社なら即クビ。なぜ、クビにしないのか」

という意見が、圧倒的に多かった。



有罪を受けての佐藤選手の反省コメントが
「グラウンドで償いたい」というような
復帰を前提にした内容だったため、
それも、

「甘過ぎる。まったく自覚が足りない」と、
厳しく批判されていた。



中には、
「逸材なのだから、2年間、育成にすればよい」という

コメントもあったが、
それは、かなり少数だった。




私は、これを読み、息子を想起しないわけに行かなかった。



「息子さんが
『一般道を120㎞、高速を140㎞で運転した』と、
自慢してましたよ」と
ある人に、今年、言われたからだ。



それで、その時、
私は息子に手紙を送り、注意せざるを得なかった。


警察官の知人にも、息子への助言を書いて貰い、それも同封した。




「逆に反発する可能性アリ」
「逆効果か?」
とも、その時、思った。



しかし、聞かされてしまった以上、
親として、何もせずに放置するわけには行かなかった…。



この日本社会では、すでに成人・就職・独立していても、
重大事件を起こせば、

親の責任が追及されるケースがある。


私は、それは間違っているのでは?とも思うが、
しかし結局、

その世間からの圧力を想像すると、
放置することが出来なかった。




そして、何よりも、
息子が死傷するのみならず、
他人様をまきこみ死傷させるという、

怖ろしい可能性を考えると、
放置できなかった。




今回、佐藤龍世選手は、事故は起こしていない。


しかし、「重大な危険行為」として、懲役刑になった。




息子も、
もし佐藤選手と同様なことを犯せば、
職を失う可能性がある。


それを、息子は、明確に自覚しているのか??


それも、私は、不安に感じた。




…それで、
またしても、バカなことをしてしまった。



息子に、メールを送ったのだ。



佐藤選手の記事を添付し、
「同様のことをすれば免職になるから、注意して欲しい」と…。



案の定、
息子からは、何の反応もなかった。




それを、私は夫に話した。


すると、夫は、怒った。


「1度手紙を送ってあるのだから、もうそんなメールは不要だ。
そんなこと繰り返してると、
アイツは、これからのメールも、一切開かなくなるぞ!」




確かに、前回の手紙を送ってから、息子はウチに来なくなった。


メールしても、返信が一切、なくなった。



その上、あんなメールを読むと、
ますます腹を立て、親への反発を強めるだろう。



「うるせえなー!!!」と…。




私は今まで、息子に、
お正月には1度来て、食事してほしいと期待していた。



…しかし、そのかすかな希望も、これで、吹き飛んだ。




しかし、仕方がない…。



他人様の命がかかっていることなのだ。



親以外、誰も真剣に注意しないだろうし…。




夫は、
基本的に、息子に甘い。大甘だ。



前回も、
私は本心では、
夫に、息子を呼びつけ、面と向かってガリッと

「速度違反は絶対ダメだ」と、叱って欲しかった。



しかし、夫は、かなりの臆病者・腰抜けだ。


そんなことは、やれと言っても、決して出来ないのだ。



その時も、
息子を呼んで、父親として、叱ってくれと、
私は頼んでみた。


しかし、結局、
夫が選んだのは、
手紙を書くという、手ぬるい方法だった…。


そして、
息子が手紙を読んだかどうかの確証は、ないままだ…。





私は、昔、夫と初対面の時、既に
「この人の最大の欠点は臆病」と、感じていた。



それ位、夫の「臆病」は、あからさまに見えていた。



しかし、私は、それでも結婚してしまった。


当時の私は、
「少しの勇気が人生に必要」というチャップリンの忠告を、
甘く見ていた…。




そのしっぺ返しは、
この20数年の結婚生活の中で、何度か手痛く受けた。




夫は、
相手が自分を全面否定してくる時、

それを受けて、正面から言い返すことが出来ない。



激しい攻撃を受けると、すぐに下を向き、黙り込む。


そして沈黙の後で、ようやく口を開き、
相手の要求を受入れる交渉を始めてしまう。



せいぜい、相手の要求10を8くらいに値切る…
それが、夫の精一杯だ。




相手が、どんなに理不尽であろうとも…。




事実、過去に、
衆人環視の中で、夫が絶対に正面から言い返すべき場面があった。


しかし、その時、夫は黙っていた。


私は、夫に代わって言い返そうかと、瞬時、迷った。


しかし、その場で女が出ると、かえって、
夫の腰抜けぶりが皆に伝わりそうだった。


それで、私は、黙っていた。



一瞬の静寂の後、
夫の代わりに、第三者が、夫を擁護する発言をした。


しかし、その人は、ややトンチンカンで、話の流れが逸れてしまった。



それで、
相手を逆に叩きのめす絶好の反撃のチャンス、
みんなに、夫の方が正しいと理解させる、またとないチャンス、
その好機を、夫は、永遠に逸した…。




過去、そんな経験もあったので、
私は、あきらめた。



私が、「悪役」を、1人で引き受けるしかない、と思った。




しかし、本当は、
「社会規範に照らして厳しく叱る」のは、

「父親の役割」ではないだろうか?



夫は、いつも、女親のように「優しく受容」してばかりだ。



しかし、
「2人目の母親のような父親」は、子にとって、かえって有害である…

と、本で読んだことがある。


いっそ、「不在の謎の父」の方が、
子にとっては、マシなのだそうだ。



息子の20歳過ぎての暴走運転は、
案外、

「甘すぎる父親」への反抗、
すなわち、

「自分を厳しく叱ってくれる父」を求めての挑発行為
なのかも知れない…
と、私は、今回感じた。




しかし、臆病過ぎる、腰抜け過ぎる夫を、
今更、変えることは出来ないだろう…。




本当は、このことを、
夫に向かって、ハッキリと指摘したい。



「息子の暴走運転は、
煮え切らないあなたへの挑発行為ではないか?」と。




しかし、これを指摘すれば、夫は逆ギレするだろう。


長期間、夫との間は、ギクシャクするだろう。



そして、夫は、変わらないだろう…。




だから、
私は、多分、これからも黙っている…。




すべては、
「腰抜け男」と結婚し、子どもを生んだ、私自身の責任なのか…。





いずれにせよ、
息子のことは、もう、あきらめよう。


忘れよう。




いつか、突然、
警察からか、本人からか、
大事故を知らせる電話がかかって来ないように…


それを、祈るだけだ…。



胸が、痛い…。